個人再生はアルバイトやパートでも申請できるの?

アルバイトの方や派遣社員の方、パートの方でも一定以上の収入を継続して得られる見込みがあれば、個人再生を利用することは可能です。3年間、継続して収入を得られる見込みがあるかどうか、また最低弁済額を支払えるだけの収入があるかどうか、が判断ポイントになります。

アルバイトやパートでも個人再生はできる?

ねえねえ、先生ー!
個人再生ってアルバイトやパートみたいな正規雇用じゃない方でも個人再生の手続きって可能なのかなー?! アルバイトの方でも多重債務で困っている方は多いと思うんだけど。
そうだね、小規模個人再生の要件は、将来において継続的または反復的な収入があることだから、アルバイトやパートの方でも継続収入が見込めれば問題なく個人再生は利用できるよ。要は3年後もちゃんと収入がありそうかどうか、ってことだね。
なるほどー。
個人再生にはたしか小規模個人再生と給与所得者等再生の2つがあったと思うんだけど、アルバイトやパートの方でも、両方どちらでも利用することはできるのー?!
ケースによっては給与所得者等再生でも大丈夫かもね。 給与所得者等再生には、「給与に類する定期的な収入」があって、かつその変動幅が小さいことが条件だ。具体的には、過去2年での月々の収入の変動幅が20%以内なら、給与所得者等再生でも大丈夫だよ。
ふーん、なるほどー。収入が不安定な場合は小規模個人再生の方が良さそうだね。
あとパートで収入が少ない場合はどうなのー? やっぱり収入が少ないと個人再生は難しいのかなー?
こればっかりは、借金の金額にもよるね。まあ目安としていうと、借金が200~300万円だとするなら、法律の最低弁済額基準だと100万円まで減免される可能性が高いから、これを3年で弁済するとして月3万円が余裕を持って弁済できるなら大丈夫じゃないかな。
  • アルバイト等でも将来の継続的な収入が見込めれば小規模個人再生は可能
  • 給与所得者等再生は、過去2年でずっと収入が安定してないと難しい
  • 個人再生の申立て前に1年以上パート雇用が継続していればまず問題ない
  • 借金額200~300万円の場合、目安で月3万返済する余裕があればOK
個人再生でいくら借金が減るのか、他の債務整理の方が良いか診断する

アルバイトやパートが個人再生をできるの?

アルバイトや派遣社員、期間工、パートタイマーなどの雇用形態で働いている方が個人再生を利用できるか?ということを心配の思われる方は多いと思います。が、個人再生をする上で「正社員かどうか」というのは直接、あまり関係ありません。

アルバイト、派遣社員、パート、でも雇用形態に関係なく個人再生は利用可能

個人再生(ここでは小規模個人再生)を利用できるかどうか、を決める要件は、本質的には以下の2つだけです。

個人再生を利用できるかどうか?
(1)3年後も継続して収入を得ている、と客観的に判断できるか?
(2)再生計画の弁済額を、原則3年で返済できる収入があるか?

この2つを満たしていれば、アルバイトやパートタイマーの主婦であろうと、あるいは例えば年金受給者であろうと、個人再生の手続きを利用することが可能です。

逆に、もし継続して収入を得られる見込みがない、または収入が不足する場合は、申立ての段階で棄却される(民事再生法221条7項)か、最終的に再生計画が不認可になります(民事再生法231条2項)

継続的または反復的な収入があるかどうか?

小規模個人再生の手続き開始の要件は、「将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある」こととされています(民事再生法121条)。

個人再生は原則3年(最長5年)かけて返済する手続きなので、今だけでなく、3~5年後も一定の収入を得ていなければいけません。それが過去の就労状況や、過去の収入等から判断できるかどうか、が1つのポイントです。

将来に渡って反復的・継続的な収入があるか-過去の就労状況や雇用期間、収入などから判断する図

正社員かどうかは直接関係ありませんが、雇用歴が長いほど当然、好材料になります。例えばアルバイトでも、再生手続きの申立て前から1~2年継続して就労していれば、個人再生はまず問題ないでしょう。

また、いくつかのバイト先や仕事先を転々としている場合でも、トータルでみて過去の収入が一定レベルで安定していれば小規模個人再生は問題ありません。後述のように個人再生では、毎月支払いが必要なわけではなく、3カ月に1度弁済ができれば大丈夫だからです。

3カ月に1度、まとまった返済資金を用意できれば大丈夫

特殊な雇用形態(期間工、派遣社員、個人事業など)で、毎月安定した収入が得られない可能性もあります。
そのため個人再生の再生計画による弁済は、必ずしも毎月返済する必要があるわけでなく、最低3カ月に1回以上の弁済であれば大丈夫、とされています。つまり年4回、まとまった資金を弁済できれば大丈夫です。

個人再生の再生計画の弁済頻度-3カ月に1度以上のペースで弁済すればOK

個人再生での弁済頻度
229条2項 再生債権者の権利を変更する条項における債務の期限の猶予については、(略)次に定めるところによらなければならない。
(1)弁済期が三月に一回以上到来する分割払の方法によること。
民事再生法 229条

例えば、個人再生による最低弁済額が100万円であれば、(原則3年で弁済するとして)3カ月に1度、8.3万円を用意できれば良いことになります。これは、正社員サラリーマンのように毎月の定期収入がない就労者にとっては、ありがたい仕組みです。

最低弁済額を返済できる収入があるかどうか?

もう1つ重要なポイントがあります。それは単純に、再生計画で決めた弁済額を返済できる余裕があるかどうかです。 パートタイマーやアルバイトの方でも、出勤日数が少なく月々の手取額が低い場合には、そもそも弁済できる収入があるかどうか、という問題が生じます。

例えば、借金額が300万円ある場合、民事再生法で決められた最低弁済額の基準では、債務者は少なくとも100万円以上を弁済しなければならない、と定められています。

3年で100万円を弁済するということは、平均すると月々2.7万円以上の余裕が家計に生じなければ、弁済の見込みがありません。生活費などを考えると、例えば月10万円しかパート収入がない、という場合には、そもそも履行可能性がかなり低いはずです。

あるいは極端な話、借金が1500万円ある、という場合には最低弁済額は300万円になります。この場合は平均すると、月々の返済額は8.3万円になりますので、かなり収入が高くないと弁済は難しいことになります。

アルバイトで給与所得者等再生は利用できる?

給与所得者等再生の場合は、前述の小規模個人再生の場合よりもいくつか条件が厳しくなります。

給与所得者等再生を利用するためには、前述の条件にさらに加えて、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれる」ことが条件とされています(民事再生法239条

「変動の幅が小さい」って具体的にどのくらい?

アルバイトやパートでも、継続して雇用を受けている場合には、毎月アルバイト代の支給がされているはずなので、定期的な収入は問題ないかもしれません。ただし、問題は「その額の変動の幅が小さい」という部分です。

変動の幅が小さいとは、過去2年間の所得の変動率が20%以内に収まっていること、と一般に解釈されています。詳しくは以下をご確認ください。

給与所得が安定している(変動幅が少ない)ことの説明図-過去2年間の給与の変動幅が20%以内

また給与所得者等再生は一般的に、小規模個人再生よりも弁済額が高くなりますので、より収入や家計にも余裕が必要になります。こういった面から考えても、アルバイトの方やパートタイマーの方が個人再生を利用する場合には、多くの場合、小規模個人再生から検討することになります。
 

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